ACADEMIC ACID REVIVAL FOR A NEW LIVING SOUNDS

新しい音響ムーブメント「補完派」を巡る学術的アシッドリバイバルのススメ

Saffronkeira [10 inch Analog]

A New Life

A New Life

  • SaffronKeira
  • エレクトロニック
  • ¥1500

“Old Life”と“New Life”の2枚組で構成されたSaffronKeira(ユージニオ・カリアのソロユニット)のデビュー作品は無差別なサンプリングやクロスオーバー的な雑多性は意図的に抑えられている(素材一つ一つの多様性はかなりのものだ)が、手法はまさしくKLFやTheOrbが90年代に入って打ち出したアンビエントハウスのそれである。

彼は左記の作家たちがDJ文化の中で育んだ構成力をフォーマットに用い、クリックビート、ノイジーにエフェクト処理したシンセサイザー、フィールドレコーディングと思わしき音やアコースティック弦楽器、声などをあくまでミニマル/ダブ・エレクトロニクスの範疇で組み上げたことで、今を象徴するようなサウンドとチルアウトという概念に全く別の意味合いを持たせた。

無作為にビートが生まれ唐突にアンビエンス空間が作られる作風ながらストーリー性に富んでいるのは、おそらくアンビエントハウスの構成力に無意味の中から真理を見いだす深層意識が備わっているからだろう。

Loopholes Adventures Beyond the... Chill Out