academic acid revival for a new chaos acoustic

新しい音響のための学術的アシッドリバイバル

Takkyu Ishino Works 1983~2017(完全生産限定盤)

学術的アシッドリヴァイバルとは一体何だったのか。

その答えはテクノ専門学校の校長先生に聞くことにしよう。

それにしてもこの仮想石野卓球像にはアカデミックという言葉がぴったりではないか。

名前に石という文字が入っていることも全く気にならないくらいである。

Exhilarator

 前作Reform Clubから5年、未だにクラブに人々が集い、朝まで踊り明かすという現状維持を良しとする文化的大衆に向かって彼は「陽気者たちよ」と呼びかける。

「私も同類だ」と付け加えるか否かは作品から推して知るべき。

スラム化した巨大なクラブを漂うテクノゾンビたちの統制を図るかのように恐ろしく形式的にイーブンキックが打ち鳴らされるが、彼らはそれとは裏腹にまるで自由を謳歌するかのように蠢いている。やがて夜明けを迎えると何事も無かったかのように家路につき、スーツを着て会社へ出かけて行くのだ。

90年代以降のアンビエントエレクトロニカ、ドローンを総括したようなミックステープ的要素も含む複数部構成の1曲。これまでの様々な作品を1曲に集約しているようでもあり、私の場合は下記の三作品がまず思い浮かんだのだが、おそらく聞き手によって様々なイマジネーションが誘発されるであろう故に中毒性も高い。匿名性と個性の絶妙なバランス感覚で織りなすサウンドメイクが私の耳をまた更新させる。

Piano Piano Radio Amor  CONFIRMED LUCKY AIR

 

 

ザ・トリロジー・ネイプルス

The Trilogy Naples

The Trilogy Naples

  • Anthony Naples
  • エレクトロニック
  • ¥1500

 アカデミックアシッドリヴァイヴァルと並行して蘇生され(ほとんどは蘇生しそこないのテクノゾンビであるが)続けるテクノミュージックはこの先100年のダンスミュージックの行く末を示唆する。

A Music of Sound Systems [12 inch Analog]

A Music of Sound Systems

A Music of Sound Systems

  • Spatial
  • エレクトロニック
  • ¥1500
Surroundly

Surroundly

  • Takayuki Niwano
  • エレクトロニック
  • ¥1500

SND的な幾何学ハウスビートによるEPシリーズ、90年代ハードハウスおよびベーシックチャンネル直系のミニマル・ダブなど作品毎に様々なリヴァイヴァルを体現してテクノの蘇生に勤しんできた彼の新作は前EPシリーズの延長でありながらそれ以前のニュアンスも詰め込み、さらにスモーキーにダビーに無節操ともとれるエフェクト/ノイズ操作が仕込まれた脱・蘇生(すなわち新生)エレクトロである。この無節操さはアカデミックアシッドリヴァイヴァルにおける手法的兆候の一つかもしれない。私のソロ作品(サラウンドリィ3部作)もまさにこの無節操さから始まった。

Hand In Hand

Hand In Hand

 エレクトロアコースティックという分野はまさにアシッドリバイバルを境に分断されていたのだがそれを繋ぎ合わせたこの作品によってリバイバル以前の実験音楽の聴き方もまた更新されるのではないだろうか。

Maybe Baby

インターネットの普及によってその価値観を確固たるものにしかけていたミックステープ文化がこの15分1トラックで構成された非ミックステープであるアルバム作品によって再び問い質されたように感じるのは私だけだろうか。